11月の食品衛生重点チェック項目
対策 | チェックポイント |
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ノロウイルス対策の維持確認 | 自己申告(チェックリスト)や手洗い状況の確認(マニュアル通りに行われているか?) |
衛生管理の再強化 | 保健所による年末一斉取り締まり(立ち入り検査、収去検査)の準備(製造許可証、衛生責任者手帳の準備) |
年末年始製造管理の準備、整理整頓 | 年末の製造数、製造予定の確認と計画作成、資材準備、受け入れ態勢の整備、製造量が増え始める前の整理整頓や大掃除の実施 |
保健所一斉取り締まり対策 | 立ち入り検査、収去検査の準備、製造許可証、衛生責任者手帳の準備 |
冷凍庫・冷蔵庫対策 | 不具合が無いか、温度設定等に問題が無いか確認する(年末年始対策の開始) |
※書面についてのお問い合わせ等ございましたら御社担当までご連絡ください。
ボツリヌス菌
ボツリヌス菌はクロストリジウム属の細菌で、土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している嫌気性菌です。熱に強い芽胞を形成し、この菌の毒素は、A~Gまでの型に分類され、自然界の毒素としては最強の毒力と言われています(毒素は500gあれば計算上、全人類を殺す事ができるといわれており、兵器としても実用化された経緯があります)。
ボツリヌス食中毒
食中毒としては、欧米では「腸詰め中毒」として昔から恐れられており、「ボツリヌス」の語源は、ラテン語のbotulus(腸詰め、ソーセージ)から命名されたものです。
ハム、ソーセージ等に亜硝酸ナトリウムの使用が認められていますが、これはボツリヌス菌の増殖を抑制する効果があるために許可されています。
ボツリヌス毒素が産生された食品を摂取すると、8~36時間で、吐き気、おう吐や視力障害、言語障害、えん下困難などの神経症状が現れ、重症例では呼吸麻痺により死亡します。
食中毒例
日本ではE型による、飯寿司(いずし)などによる中毒が過去に報告されています。
・1984年に熊本県で製造された、真空包装の辛子蓮根を常温で流通させたため、A型による食中毒が発生し、36名が発症、内11名が死亡する
事故がありました。
・2012年3月にハニー食品(岩手県宮古市)が製造した「あずきばっとう」により、鳥取県の60歳代の夫婦がボツリヌス症(A型)を発症し
ました。
・2017年2月に東京都の家庭で、蜂蜜により(1名)亡くなっています。厚労省では、食品事業者へ、ハチミツおよびハチミツを含む食品は
「1 歳未満の乳児には与えないで下さい。」という情報を、表示などにより消費者に分かりやすく提供するよう通知しています(乳児ボツリ
ヌス症)。
・2021年7月に熊本県で、2家族4名に複視(物が二重に見える)、言語障害、呼吸困難、脱力感等の症状が出て、血清、便からボツリヌス毒
素が検出されました。原因食品は7月16日の家庭での夕食(自宅で食べた白米か市販の総菜)と推定されています。
ボツリヌス食中毒の予防対策
厚生労働省から平成24年8月2日付けで「容器包装詰低酸性食品に関するボツリヌス食中毒対策について」各都道府県あて通知が出ています。
①容器包装に密封し、②PHが4.6を超え、③水分活性が0.94を超える→①②③のすべてにあてはまる容器包装詰低酸性食品は、ボツリヌス菌食中毒の対策が必要です。
予防対策は、(1)120℃で4分間殺菌又はこれと同等以上の効力のある方法で殺菌(容器包装詰加圧加熱殺菌食品)するか、(2)冷蔵流通(10℃以下の温度管理)させることです。なお、(1)又は(2)以外の対策を講じる場合については、科学的知見に基づき、ボツリヌス食中毒防止対策を考慮した適切な常温流通期間の設定を行う等、(1)又は(2)と同等以上の措置を食品等事業者自らの責任において講じることとしています。
食品衛生法による基準
特定加熱食肉製品、加熱食肉製品(包装後加熱殺菌)は、クロストリジウム属菌が1gにつき1,000以下と規定されています。これは、食肉製品が汚染を受けやすく、加熱工程があり、保存が嫌気性となるためです。菌の増殖を抑えるためこれらに該当する食品である場合は、4℃(水分活性が0.95以上)もしくは10℃(水分活性が0.95未満)で保存しなければならないと規定されています。また、レトルト食品(容器包装詰加圧加熱殺菌食品)ではpHが4.6を超え、かつ、水分活性が0.94を超える場合、120℃で4分間加熱する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法で殺菌することが規定されています。常温で保管、流通させるためには、芽胞を含めた殺菌が義務付けられています。