7月の食品衛生重点チェック項目
対策 | チェックポイント |
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ゴキブリ対策 | 発生時期に備える(防虫施工および発生状況の確認) |
ハエおよび虫の侵入、混入対策 | 捕虫器の確認と設置、防虫カーテン確認と設置、ドアの開放放置禁止 |
食中毒への警戒 | 衛生レベルの引き上げと再確認を実施。ポスターや朝礼で注意喚起 |
保健所夏期一斉取締 | 製造許可証、衛生責任者手帳の準備 |
冷蔵庫、冷凍庫のメンテナンス | 冷蔵庫に負荷がかかる時季で気温上昇に伴い故障等が増加 |
※書面についてのお問い合わせ等ございましたら御社担当までご連絡ください。
夏場の温度管理
日を追って陽射しが強くなり、日中の気温が30℃を越える日が多くなりました。毎年この季節は、カンピロバクター、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌などの細菌性の食中毒が増加します。
令和4年の6月から10月の全国の細菌性食中毒(厚生労働省まとめ)を見ると、この5ヶ月間で年間発生件数の約61%(患者数では約53%)を占めていました。このことから、この期間は細菌性食中毒に注意する必要性があるという結果でした。食中毒予防三原則①菌を付けない(手洗い、器具の使い分けを徹底して二次汚染を防止)、②十分に加熱して菌を殺す(芯温75℃1分以上の加熱、使用器具の塩素剤等による殺菌)、③菌を増やさない(温度管理)を徹底して事故防止を心掛けましょう。
◆なぜ夏は細菌性食中毒が多いのでしょうか?
細菌が増えるには、①温度、②水分、③栄養の三要素が必要ですが、特に①の温度が一番大きな影響を与えているようです。一般に食品が腐敗すると匂いや味が変化するため、気付いて食べることは殆どありませんが、食中毒細菌は味や匂いに変化がおこることが少ないため、気付かずに食べてしまい事故を起こしています。
温度 |
食中毒細菌は3~45℃ぐらいの幅広い温度帯で発育でき、人の体温である35~36℃が大好きです。 気温が高い夏は、食中毒細菌が大活躍します。 |
水分 |
細菌は利用できる水分がないと生きられません。刺身や惣菜などの食品は水分が多く含まれており、調理器具類も濡れたまま保管したりすると細菌が増える条件を満たしてしまいます。 食品の保存方法として、乾燥させて細菌が利用できる水分を少なくする、塩や砂糖漬けにすることで塩や砂糖に強く結びついた水は細菌が利用できなくする(水分活性を低くする)など様々な保存方法が行われています。 |
栄養 | 食品には様々な栄養素が含まれており、細菌にとっても増殖するための栄養源です。 |
◆温度管理は大丈夫ですか?
冷蔵庫(10℃以下)、冷凍庫(-18℃以下)の温度管理
- 細菌は、10℃以下の低い温度では増殖のスピードが遅くなり、増えるには時間がかかります。しかし、冷凍しても細菌は生きていられます。
- ほとんどの食品は細菌が増殖するための栄養・水分の条件が整っているので、温度の管理は重要です。
- 食品工場、飲食店、販売店で使用している冷蔵庫、冷凍庫には温度計が設置されていると思いますが、温度のチェックをしていますか?営業開始前や営業終了時などに庫内温度をチェックし、記録する習慣を付けましょう。
調理(製造)中の温度管理
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お昼時の飲食店では、トッピング材料等が長時間常温に置かれていませんか?
少量ずつ冷蔵庫から小出しで使うか氷を下に敷くなどの工夫をすると良いでしょう。しかし、氷を下に敷いていても、空気に触れている部分は温度が高いので、長時間には不向きです。 - 休憩時間に調理した食品が常温に置かれていませんか?短時間の休憩時間でも、冷蔵保管等の対応をしましょう。
加熱温度と時間
- ほとんどの食中毒細菌は加熱に弱く、食品の中心部(芯温)を75℃1分以上加熱すると死んでしまうので、十分な加熱をしましょう。なおノロウイルスは比較的熱に強く、対策には芯温85~90℃90秒以上の加熱が必要とされています。
- 加熱後に冷却する場合は、食品の中心部の温度(芯温)を早く下げないと、ウエルシュ菌など耐熱性の芽胞を作る菌が増殖するので気をつけましょう。冷却の目安は、30分以内に芯温20℃以下、1時間以内に10℃以下です。温めて保存(温蔵)する場合は、65℃以上に設定し、温度の確認を行いましょう。
◆調理・製造環境(室温、湿度)の対策は?
大量調理マニュアルでは、調理場は湿度80%以下、温度25℃以下に保つことが望ましいとされています。また、洋生菓子の衛生規範は廃止になりましたが、製造場(発酵室を除く)は、湿度65%以下、温度20℃以下に保つことが望ましいとされています。
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