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卵が原因による食中毒(食あたり)症状は何時間後にあらわれる?

卵が原因による食中毒(食あたり)症状は何時間後にあらわれる?

鶏卵が食中毒の原因食材になる要因は様々ですが、例えば、卵の殻(卵殻)に付着した「サルモネラ属菌」が原因になった食中毒では、発熱や下痢などの食中毒症状は早ければ5時間後にあらわれます。ただし、適切な方法で鶏卵を保存することで、食中毒の発症リスクを大幅に減らすことができます。

そこで今回は、飲食店や食品加工などの事業者向けに、鶏卵が原因となる食中毒を予防するポイントを紹介します。また、当コラムは事業者だけではなく、一般家庭の食中毒対策でも十分応用できる内容になっているので、ぜひ参考にしてください。

食中毒を予防する豊富な検査プランと「コンサルタント無料サポート」をご提供。効果的な改善プランをご提案します【食品微生物センター】

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卵から発生する食中毒の原因物質

食中毒(食あたり)は、腐ったものを口にしたことで起こるわけではなく、食中毒を引き起こすウイルスや細菌などの「原因物質」を体内へ取り込んだことが原因で発症します。
ただし、食品(または食材)が腐るのは適切な保管・管理を怠った結果であり、これは食中毒の原因物質を増殖させることにもつながることから、結果的に腐っているものの中には、食中毒の原因物質が存在している場合が多くなります。

鶏卵も同じで、適切に保管・管理ができていないと食中毒の原因物質となる細菌などが増殖し、食中毒のリスクが高まります。そこで、鶏卵からの食中毒を防止するためには、主に以下の原因物質について注意してください。

  • カビ
    鶏卵の内側に黒い斑点がある場合、カビの可能性があります。食用には不向きなので廃棄してください。
  • シュードモナス(緑膿菌)
    白身が若草色の場合は、飼料の中に含まれる「リボフラビン」が原因であることが多く、人体へは影響はありません。ただし、この色が「シュードモナス(緑膿菌)」の繁殖による場合は、白身が黄緑色の蛍光を発し、人体への影響が懸念されるため鶏卵を廃棄します。
  • サルモネラ属菌
    国内では、サルモネラ属菌のうち「サルモネラ・エンテリティディス(SE)」の報告例が最も多いです。潜伏期間は5時間~72時間ほどで、腹痛、下痢、おう吐、発熱などの症状があらわれます。

卵とサルモネラ属菌について

ほぼ毎年のように、鶏卵が原因食材となる食中毒が報告されています。その中でも、鶏卵がサルモネラ属菌に汚染されることで起こる食中毒はよく知られています。
サルモネラ属菌は、カンピロバクターやウェルシュ菌に次いで、細菌の中では国内で患者数が多く報告されている食中毒の原因物質です。感染すると概ね5時間~72時間のうちに、腹痛、下痢、おう吐、発熱などの症状があらわれます。

国内では、サルモネラ属菌に汚染された鶏卵を口にしたことで発生した食中毒が報告されています。鶏卵がサルモネラ属菌に汚染される経路は、鶏の糞便などに生息しているサルモネラ属菌が卵殻の表面に付着する場合と、サルモネラ属菌に感染した鶏の卵巣(または卵管)にいる菌が、卵の形成過程で内部に取り込まれる場合の2通りがあると考えられます。

ただし、サルモネラ属菌は自然界のあらゆるところに生息し、様々な動物の腸内で保菌されているため、鶏卵だけが原因食材というわけではありません。鶏卵以外にも、鶏肉や内臓肉、うなぎなどの淡水養殖魚介類などが原因食材として報告されています。また、動物(ペット)から感染することもあります。

食中毒を予防するためには「適切な保管・管理」が最も重要

食中毒を予防するためには「適切な保管・管理」が最も重要

日本の食品衛生法では、食品や添加物について一定の安全レベルを確保するために規格基準が定められています。規格基準とは、「食品の安全基準」のことで、基準を満たさない食品は流通されないよう定められています。鶏卵についても規格基準により厳しく管理されていることから、サルモネラ属菌に汚染された鶏卵が市場に出まわることはほとんどありません。

ただし、鶏卵を扱うGPセンター(Grading and Packing Center)では、卵の洗浄やパッキングを慎重に行うものの、卵殻の汚れを完璧に洗い落とすことが難しい場合や、洗浄後の卵の取り扱いが不適切であることで、サルモネラ属菌による汚染が起こることは否定できません。そこで、飲食店や食品加工などの事業者は、鶏卵にサルモネラ属菌が付着していることを想定して、仕入れ後には適切な保管・管理を行わなければなりません。
適切な保管・管理によりサルモネラ属菌の増殖を抑えることができるため、その分食中毒のリスクが減ることになります。

卵の適切な温度管理で食中毒を予防する

サルモネラ属菌に汚染された鶏卵を長期間保管するとその分菌の数が増加します。サルモネラ菌属は、10℃以下の環境では増殖スピードが弱まるため、仕入れ後はすぐに冷蔵庫などで保管し、賞味期限以内でできるだけ早く使うことがポイントになります。また、事業者は鶏卵の購入先にも注意を払い、「納品までにしっかり温度管理している業者から購入する」ことを心がける必要があります。

購入後は清潔な容器に移し替えるとともに、殻付き卵は10℃以下、液卵は8℃以下、凍結液卵は-15℃以下で保存することが推奨されます。ただし、割った卵はすみやかに使用し、また、加熱調理する場合であっても割置きはしないようにしましょう。以上の管理ポイントは殻付き卵だけではなく、「液卵」を購入する場合も同様です。

手洗い、調理器具の洗浄で食中毒を予防する

卵殻に付着したサルモネラ属菌に触れた手指から食品に感染することがあります。そのため、卵殻を取り扱ったあとは手指の手洗いや消毒を心がけることが非常に重要です。加熱処理をしない食品を取り扱う場合は、特に注意を払う必要があります。

また、生卵を割ったボウルなどの調理器具はよく洗浄してから次に使うようにすることで二次感染を防ぐことができます。このような予防策は、食中毒を効果的に防ぐために非常に重要です。

卵の加熱調理で食中毒を予防する

サルモネラ属菌は、70℃で1分間以上加熱すると死滅します。特に、新鮮でない卵や、購入時にヒビが入っているような卵は感染のリスクを鑑みて、加熱調理することが望ましいです。
加熱調理は、サルモネラ属菌による食中毒を防ぐための最も有効な手段の一つです。卵を安全に楽しむためにも、この基準を守り、適切な加熱を心がけましょう。

卵の仕入れ段階で食中毒を予防する

しっかりとした保管・管理を行っている仕入れ(購入)先を選ぶことで、食中毒の発生リスクを減らすことができます。その際は、以下のポイントに注意を払うことが重要です。

  • 卵はきれいで、ひび割れのない、新鮮なものを納品しているか。
  • 産卵日や包装日、期限表示の日付が確認できるか。
  • 納品(購入)までに、しっかりとした温度管理が行われているか。

これらのポイントを考慮することで、サルモネラ属菌などの細菌による食中毒のリスクを大幅に低減することが可能です。食品安全を保つためには、仕入れ段階での適切な判断も非常に重要となります。

卵が入っていた段ボールを調理場に置かない

卵が入っていた段ボールが食中毒菌に汚染されている可能性があるため、厨房などの調理場や加工場内には置かないようにすることが重要です。この習慣は、食品安全管理の基本的な一環として、食中毒のリスクを減らすために非常に効果的です。外部からの汚染物質が調理場に持ち込まれることを防ぎ、食品を安全に保つために、このような予防措置を講じましょう。

その他の予防法(卵の生食など)

その他の予防法(卵の生食など)

サルモネラ属菌は、鶏・豚・牛などの動物の腸管などにも生息しています。そのため、鶏卵や食肉を原材料とし、且つ十分な加熱のない食品が原因食品として報告されています(牛肉のたたき・レバ刺・ハンバーグなどの食肉調理品や、鶏卵を使う生卵入りとろろ汁・半熟玉子焼き・洋菓子など)。
特に、生食で提供する場合は、新鮮な卵を使うとともにしっかりとした保管・管理のもと提供することを心がけ、食中毒のリスクを減らすようにします。

特に、卵を使用した生食や低温調理の料理を提供する際は、使用する卵の品質と衛生管理に最大限の注意を払う必要があります。

事業者が心がける「食中毒の予防で大切なこと」

鶏卵の保管・管理に限らず、細菌やウイルス、アニサキスなどの寄生虫対策についても、食中毒の予防対策では、効果的且つ網羅的な衛生管理が重要となります。
そのためには「食中毒予防の3原則」を意識した対策を講じながら、従業員の衛生管理への意識を高めることが最も大切です。

また、この過程においては、属人的な偏向を生まないために客観的な評価やアドバイスが重要になります。正しい知識による対策を講じながら改善を繰り返していくプロセスを持続的に行っていくことが、食品安全の確保につながります。事業者には、食中毒予防に対して責任を持ち、継続的な教育と改善活動を実施することが求められます。

食中毒の予防で大切なこと1.「食中毒予防の3原則を守る」

食中毒を予防するためには、細菌やウイルスが食品に付着し、体内へ侵入することを防ぐことが大切です。このためには「食中毒予防の3原則」を心がけます。

  • 食中毒予防の3原則「つけない」
    「つけない」とは、手指や調理器具、汚染された食品から食中毒の原因物質やウイルスを食べ物に付けないようにすることです。
    基本は徹底した手洗いです。特に、ノロウイルスのように少量でも感染を広げる可能性があるウイルスに対しては、従業員が正しい方法で手洗いを徹底することが重要です。
    また、包丁やまな板などの調理器具の洗浄・消毒によって交差汚染や二次汚染を防ぐことも重要です。
  • 食中毒予防の3原則「増やさない」
    「増やさない」とは、食材の保存時に食中毒の原因物質を増殖させないようにすることです。食品や食材は、冷蔵庫や冷凍庫などを使って適切に保存します。
  • 食中毒予防の3原則「やっつける」とは
    「やっつける」とは、食品や食材の加熱処理で菌を死滅させることです。
    例えば、ノロウイルスは熱に弱いため、食品の中心までしっかり熱が通るように、中心温度を85~90度以上にし、90秒間以上加熱することが大切です。
    また、飲食店などで新たなメニューを考案する際は、調理時の中心温度を意識して開発するようにします。

これらの原則を守ることにより、食中毒のリスクを大幅に減らすことができます。従業員ひとりひとりの意識と行動が、食中毒予防においては非常に大切なのです。

食中毒の予防で大切なこと2.「衛生管理意識を高める」

食中毒の予防において、従業員の衛生管理意識を高めることは非常に重要です。
特にノロウイルスのように、食品取扱者を介して食品が汚染されるケースでは、従業員の衛生に対する意識と行動が食中毒予防の鍵となります。
そこで、従業員が普段から実践すべき衛生管理対策を紹介します。

  • 下痢や嘔吐などの症状を確認し、確認した場合は業務に従事しません。これにより、感染の拡散を防ぐことができます。
  • 手指のケガや傷を確認し、確認した場合は手袋などを着用します。これにより食品への細菌の移行を防ぎます。
  • 常に清潔な作業着を着用します。レンタルユニフォームを利用して衛生管理を委託することもひとつの方法です。
  • 菌が繁殖しやすい腕時計や指輪などの貴金属は着用しません。
  • 正しい手洗いを徹底します。手洗いは食中毒予防の最も基本的で効果的な方法のひとつです。

食中毒の予防で大切なこと3.「リスクを見える化する」

食中毒の予防では、購入した食材の鮮度チェックや正しい保存方法など、様々な衛生管理に努めることが重要です。ただし、これらの努力を最大限に活かすためには、従業員の衛生管理意識を高めることが不可欠です。
この意識を高めるために効果的なアプローチのひとつが、リスクや衛生管理の状態を「見える化」することです。

例えば、手洗い前後の手指や、洗浄前後の調理器具に付着している菌の状況の見える化です。これにより、リスクが具体的に確認できるようになり、従業員の衛生管理に対する意識が自然と高まっていきます。

見える化されたデータは、衛生管理の改善に必要なPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回していくための基となり、これにより衛生管理の継続的な向上を図ります。

食品を取り扱う事業者にとって、従業員の衛生意識を高めることは、食中毒予防の最前線に立つ重要な戦略です。リスクの見える化によって、衛生管理の意識を根本から改善し、食中毒のリスクを最小限に抑えましょう。

食中毒の予防で大切なこと4.「検査機関を利用する」

飲食店や食品加工工場などの衛生管理を向上させるためには、積極的に外部の検査機関を利用しましょう。以下のようなメリットが期待できます。

  • 専門性の高い検査
    外部検査機関は、食品安全と衛生に関する専門知識を持っています。これにより、食品が法的基準や業界基準を満たしているかを正確に評価することが可能です。
  • 客観性の確保
    内部検査では偏向や見落としが生じる可能性がありますが、外部機関による検査は客観的で公正です。これにより、消費者や規制当局からの信頼が向上します。
  • リスクの軽減
    食品の安全性を確保することで、食中毒やその他の健康リスクを軽減することができます。また、万が一の事態に備えて、リスク管理と危機管理の体制を強化することが可能です。
  • 教育とトレーニング(従業員の意識の向上)
    外部検査機関は、衛生管理のベストプラクティスなトレーニングやアドバイスを提供します。これにより、従業員の意識とスキルが向上し、日々の衛生管理が改善されます。
  • ブランドイメージの向上
    安全で衛生的な食品を提供することは、ブランドの信頼性を高めます。これは消費者の満足度を向上させ、長期的な顧客ロイヤルティの構築につながります。

外部検査機関の利用は、食品衛生管理の質を高め、様々なリスクを管理する効果的な方法といえるでしょう。

食中毒などの衛生管理に必要な主な検査

見える化により衛生管理を向上させる検査には、主に以下のようなものがあります。

  • 食品細菌検査
    食品細菌検査は、食品の衛生状態や食中毒菌の有無を検査し、食品の安全性を確保するための重要な検査です。これにより、食中毒の原因物質を確認し、適切な対策を講じることが可能になります。
  • ふきとり検査
    ふきとり検査は、食品やまな板、包丁などの調理器具、さらに従業員の手指などの衛生状態を見える化するための検査です。清潔な状態を保つことが食中毒予防に不可欠であり、ふきとり検査はその確認に役立ちます。
  • 異物検査
    異物検査は、食品中に混入した異物が何であるかを検査し、原因を究明することで信頼を回復するための検査です。異物混入は食品業界において信頼性の低下を招く重大な問題であり、早期発見と早期対応が重要になります。
  • 検便検査
    安全性を確認する検便検査を、定期的に実施することで衛生管理の意識向上にもつながります。また、症状のあらわれていない菌の保有者を発見し、食中毒の発生を未然に防ぐ役割も果たします。特に、ノロウイルスなどの感染症に対する早期対策に有効です。
  • 賞味・消費期限検査
    賞味・消費期限検査は、食品の賞味期限や消費期限を科学的な根拠をもとに設定するための検査です。正確な期限設定は食品の品質と安全性を確保するために欠かせません。
  • 成分検査
    成分検査は、食品の成分や栄養価を確認するための検査です。正確な成分情報は消費者に対して誠実な情報提供を行うために重要です。

衛生管理における検査の重要性は高まる一方で、適切な検査体制を整えることは自社の価値を向上させるため、その分大きな利益をもたらします。

まとめ

卵が原因となる食中毒には、サルモネラ属菌などが原因となることが知られていますが、食中毒のリスクを減らすためには、適切な保管・管理が最も重要になります。この管理を実現するためには、日常的に正しい衛生管理を行い、リスクを見える化することで従業員の意識を高めることが最も大切です。

また、衛生管理に対する属人的な偏向を生まないためには、客観的な評価やアドバイスも重要になります。そこで、外部の検査機関やコンサルタントも積極的に利用することも検討しましょう。

食品安全と衛生管理の徹底を図るためには、これらの対策を総合的に実施し、定期的なチェックと改善のサイクルを確立するように努めましょう。消費者に安全で信頼できる食品を提供するためには、これらの取り組みが不可欠です。食中毒予防のためには、全ての事業者が責任を持って対策を講じることが求められます。

食中毒を予防する豊富な検査プランと「コンサルタント無料サポート」をご提供。効果的な改善プランをご提案します【食品微生物センター】

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経験豊富なコンサルタントが徹底サポート【コンサルタント紹介】

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【参考/引用資料】
一般財団法人日本養鶏協会
前橋市/ノロウイルス食中毒に注意しましょう!
新宿区ホームページ/サルモネラ属菌
首相官邸/ノロウイルス(感染性胃腸炎・食中毒)対策
厚生労働省/食中毒統計(令和5年(2023年)食中毒発生事例 速報)
三重県/食品衛生班
農林水産省/市販鶏卵のサルモネラ汚染状況調査
東京都衛生の窓/食品添加物の使用基準と成分規格
食品安全委員会/安心して生卵を食べられる国
愛知県/卵の衛生管理について
MSDマニュアル/シュードモナス(Pseudomonas)感染症

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